VO2maxを追い求めすぎると運動の効率が下がる ?

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Physiological adaptation of aerobic efficiency: when less is more
M. Flockhart and F. J. Larsen
Journal of Applied PhysiologyVol. 127, No. 6


Oskar Svendsenというサイクリストはそもそもアルペンスキーをしていましたが、自転車のタイムトライアルの選手に転向し、たった3年でジュニアの世界チャンピオンになった選手。

それだけでも半端ないですが、さらに特筆すべきは最大酸素摂取量の世界最高記録を更新したこと。その値は96.7mil/kg/min。一般的な30代男性で38~9くらい、Googleで調べて見ると実業団レベルのマラソン選手で70台が多いらしい。それを見ても96.7という値がすごいことが分かる。

しかし、Svendsenは3年ほどで引退。プロのキャリアもあまりパッとしない感じだったらしい。

その理由?というか、興味深いデータがあげられています。

本格的なトレーニングを開始する前の彼の自転車エルゴメーターで測定した運動の効率は21.5%。ハードなトレーニングを開始しVO2maxが世界記録レベルに達する時期が19.8~20.5%。そして何と、競技を引退してVo2maxが下がった時の運動効率は22%。

ここでいう効率とは「仕事量÷エネルギー消費量」のこと。少ないエネルギー消費でたくさん仕事ができた方が数値が大きくなり、それは効率が良いということ。運動効率と言うとフォームがどうのとイメージが頭に浮かぶが、そうではなく、どれだけ消費カロリーをロスすることなく仕事できたか。

簡単にまとめると、Svendsenは本格的なトレーニングによってVO2max世界一になった時の運動効率が最も低く、それよりもトレーニング開始前、もっと言えば競技を引退した後の方が運動効率が良いということになる...。


熱力学的な観点からすると、”どれだけ大量にエネルギーを生み出せるか?” と ”どれだけ効率よくエネルギーを使えるか?”という能力はトレードオフで、どちらかを取ればどちらかが失われるらしい。

例えば、めちゃくちゃ暖かいストーブは燃料を大量に消費し、めちゃくちゃ省エネなストーブは全然暖かくないと言うようなイメージ。超省エネで超暖かいと言う、仕事と効率の両方を最強にしたストーブは作れないよ!と言うこと。

人間に置き換えると、Svendsenのように大量のエネルギーを消費して運動もハードにできる人、反対に消費エネルギーは少ないものの強い運動もできない人がいると言うことになる。


トレーニングのことを考えると、VO2maxを向上させるような高強度トレーニングを偏って実施することで省エネ能力を低下させてしまう可能性がある。反対に、効率だけを求めて低強度の長時間トレーニングばかりを行うとエネルギーをバンバン産生して強い/速いパフォーマンス発揮はできなくなるのかも。

トレーニングによって運動効率が上昇することもあれば、低下することもあるということ。

続く...

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